はい、こんにちは、松本です。
今回のテーマは、「絵がうまい医師は手術が上手い」です。
医師が発信しているSNSやブログを見ていると上のようなことが言われているのをたまに見かけることがあります。
「絵を描くのが上手い」ことと、「手術が上手い」ことに何か相関関係があるのでしょうか。私なりに少し考察してみたいと思います。
「絵を描く」という行為に関係する能力は多岐にわたります。画力のみならず、観察力、空間認知能力、表現力…と、挙げていけばキリがないくらいには多いと思います。
まずは観察力を考えてみましょう。
普段意識することはあまりないと思いますが、私たちは想像以上に、身の回りのものをしっかりとは見ていません。例えば、あなたが普段に見つけている腕時計の視覚的特徴を言え、と言われたら、ぱっと説明することができるでしょうか?これはなかなか難しいと思います。「あとで○○について尋ねるので、対象をよく見てください」と言われたら、答えることが容易なはずです。
つまり、われわれ人間は「意識していないことに関してはほぼ見ていないも同然」であるといえます。
さらに重要なのは、「絵に描きこめる情報は、見た情報のみである」という事なのです。つまり、意識的に観察していない、あるいは観察したことがない情報を絵として表現することは不可能なのです。
絵として描き残すためには、描く対象のうち必要な情報のみに意識を向け、それらを抽出する必要があります。
手術を行うにあたって症例の中で特に必要な視覚的情報のみを抽出する、という観察力が、絵によって養われるのではないかと考えられます。
そして、もう一つ関係性が考えられるのは空間認知能力です。これはどちらかといえば想像しやすいかもしれません。
世間一般で言われるうまい絵というのは、立体感の描写が極めて秀でていることが多いものです。
立体感を描出するためには、光源を意識してものに影を付けたり、もの同士の前後左右の位置関係などを意識的に表現することが重要になります。
絵を描くことによって、空間的な形状や位置関係を把握する癖がおのずと身につきます。
手術においても、臓器の形状や位置関係、神経や血管の走行を把握することは極めて重要な能力であると言えます。絵を描くことによって、無意識にこの能力を鍛えることができるのです。
手術を行う診療科の医師は、まさに絵を描くことによって、手術能力を高めることができてしまうのです!!
手術能力を高める以外にも絵を描くことには様々なメリットがあります。詳しくは「医師がイラストレーションを学ぶ意義」のページでも解説しています。そちらもご覧ください!
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