イラストで学ぶ医学のコーナーです!ちょっと今回初の試みです。
突然ですが、みなさんは、上のイラストを見て何か違和感を感じるでしょうか。
医療者ではない人は一見普通に見えるかもしれませんが、これ実は、2つの腎臓がつながって巨大な1つの腎臓になっている状態です。見る人が見れば一発で「なんじゃこりゃァ」となるようなイラストです(笑)
これは「馬蹄腎」といって、腎臓が2つに分かれることができずに馬のひづめ(蹄)のような形のまま残ってしまうという先天的な生まれつきの疾患です。ぱっと見のインパクトもかなり大きいですね。
私が2回生で解剖実習をやった時、同じ学年の他の班の御遺体で、この馬蹄腎が見つかった班があり、一時期話題になったのをよく覚えています。
この馬蹄腎は基本的に症状を起こすことはなく、CTやMRI検査で偶然に発見されない限りは、自分でも気が付かないまま過ごしている場合がほとんどです。
しかし、馬蹄腎の場合は上図のように尿管を背中側からお腹側に向かって圧迫するので、尿が尿管の中で滞りやすくなり、尿路感染症を引き起こす可能性が高くなります。
特に女性の場合は、Turner症候群という染色体の異常が関係する疾患で、この馬蹄腎が発生しやすくなるという報告もあるようです。
腎臓が蹄の形のまま残るというのは、何とも興味深い現象といえますね。
今回は以上です!ありがとうございました~!